この度、私たちは「日本放課後学会(Japanese Society of Children’s Verse)を設立いたします。私たちの定義する放課後とは学校等の「課業」から解き放たれたまさに「こどもたちの世界」です。 小学生では、夏休み等の長期休みを含めると学校にいる時間は年間約1,200時間に対して、家庭における就寝等を除いた放課後の時間は約1,600時間とも言われており、子どもたちの生活や成長にとって非常にたくさんの時間を占めていることがわかります。一方でこれまでそれぞれの業界団体はあるものの放課後そのものを横断的に取り扱うことはできていませんでした。今回、私たちは業界の壁にとらわれず研究者と実践者が互いに協力しあって、こどもたちのより豊かな放課後を実現するために日本放課後学会を設立します。
【設立の経緯】
現代の日本では社会環境の変化に伴い、家庭環境や地域、年齢などによって放課後の過ごし方は多岐にわたっており、子どもたち一人ひとりによってまったく異なっている状況です。 そして、近年では子どもの貧困や孤立孤独、ヤングケアラーなどの放課後を取り巻くさまざまな問題も取り沙汰されるようになりました。その一方で、教育格差・経済格差・体験格差などが象徴するように、放課後そのものの消費産業化も進み続けているのです。そのため、ヤングケアラーにならざるを得ない子どもたちから、いわゆる「習い事漬け」の子どもたちに到るまで、放課後の過ごし方が家庭や生育環境に依存している状況があります。
このような中で、学校教育とは異なった中間世界にある放課後を、子どもたちがいかに過ごしていけばよいのかについては、放課後にかかわる大人たちの中で多種多様な見解と持論が飛び交っているところです。同時に、子育ての当事者である保護者たちもまた「何が正解なのか」を模索し続けなければなりません。
そこで、当学会では「放課後」を広く横断的に捉え、団体や業界の垣根を超えて研究者と実践者が相互に協力していこうというわが国で初めての試みを行う所存です。当学会が設立されれば、中長期的に放課後のあり方を捉えられる一方で、研究に偏りがちな学会と実利に偏りがちな業界団体のそれぞれのよいところを学び、子どもたちにとっての豊かな放課後を実現する一助となることが期待できます。
【当学会が目指すこと】
今後は、放課後に関する研究及び実践の発表の場を生み出すとともに、広く実践者と研究者を募り、実践者には自らの方針と活動のアウトプットを、研究者には実践者の方針と活動を客観的に検証する研究フィールドの獲得を推進していきたいと考えています。なお、当学会では、学童保育(放課後児童クラブ)、習い事、塾、家庭学習、プレイパーク、アフタースクール、放課後デイサービス、こども食堂、部活動などを主な放課後の活動として取り上げる予定です。そして、仮にお互いの方針や方法が異なっていたとしても、その違いを否定するのではなく、客観的な検証に基づいて違いを認め合えるための場となれることを目指していきます。
【設立記念大会のお知らせ】
◯日時
2023年3月19日 13:00-16:00
◯会場
TKP ガーデンシティ御茶ノ水3階
◯参加資格
放課後に興味や関心がある方ならどなたでも参加可能です
◯申込方法
以下フォームよりお申し込み下さい
【設立準備会メンバー】
※設立準備会のメンバーとして。五十音順
・青木智宏(財団法人 ベネッセこども基金 事務局長)
・秋山展子(秋草短期大学)
・浅井拓久也(準備会副会長/鎌倉女子大学)
・今井 悠介(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン 代表理事)
・小山亮二(一般社団法人あそび庁 代表理事)
・小山壱也(一般社団法人 子ども學びデザイン研究所 代表理事)
・小山玲子(秋草短期大学)
・鈴木 瞬(金沢大学)
・須藤昌俊(一般社団法人SSK 会長)
・竹内弓乃(準備会副会長/特定非営利活動法人 ADDS 共同代表)
・豊田開吏(多機能学童保育広場すくっと 代表)
・辻 義和(まなびやボート 代表)
・中山勇魚(準備会副会長/兼事務局長特定非営利活動法人Chance For All 代表理事)
・中山芳一(準備会会長/岡山大学)
・番野智行(NPO法人ETIC. ソーシャルイノベーション事業部 事業統括)
・三島理恵(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 理事)
・蓑手章吾(ヒロック初等部 スクールディレクター)
・李 炯植(認定NPO法人 Learning for All 代表)
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